信州マンション管理組合連合会設立準備室
信州マンション管理組合連合会準備室設立にあたって
マンション関連のお知らせ
2023年10月17日信越放送「Jのコラム」の文字起こしです
丸山アナ:おはようございます!今朝の話題は何でしょう?
板谷:今朝は、マンション管理の問題を取り上げます。
丸山アナ:それはまたどうして?
板谷:最近、日本全国でマンション建設ラッシュなんです。人口減少時代といわれている中で、マンション件数ばかり右肩上がりに増えています。
丸山アナ:そういえば、県内でもマンション建設をよく目にします。
板谷:ですね。我が国で初めて民間マンションの分譲がされたのが1956年、東京の四谷コーポラスというマンションなんですが、それ以後約70年、マンションは完全に定着し、全国で1500万人、つまり人口の10人に1人以上がマンションに住んでいます。私は生まれて1回も一軒家というものに住んだことがないのですが、そういう方も多いはずです。
丸山アナ:住宅ローンの金利も安いから、家を借りて家賃を払うくらいならマンションを買っちゃえという人も増えているかもしれないですね。そもそも、マンションとはどういうものでしょう?
板谷:マンションというのは、ある敷地をみんなで買って、その上にみんなで大きな建物を建てて共有しましょうという発想なんです。そして、区分所有権といって、一棟の建物の中を構造上区分して部屋として独立して使えるようにして、廊下とかエレベーターなどは共用部分として使いましょう、そしてみんなで維持管理していきましょうということにしました。
丸山アナ:「マンション管理の問題」ということですが、最近は問題が出ているのでしょうか?
板谷:最近よくいわれるのですが、マンションを巡っては、「2つの老い」と言われる問題が出てきています。
丸山アナ:2つの老い??
板谷:はい。①居住者の高齢化と、②建物の老朽化という2つの老いなんです。以前は、若いときはマンションに住んで将来は一戸建て、という考え方を持つ人も多かったのですが、調査結果によると、1990年代半ばから「永住するつもり」の割合が「いずれは住み替えるつもり」を上回るようになりまして、直近では6割以上の人がマンションに永住する意識を持っています。
丸山アナ:マンションに対する住まい方の意識が変化して、高齢になってもマンションに住み続けるという人が多いと。
板谷:そういうことですね。しかも、マンションが建て始められたのが1950年代からですので、マンション自体も老朽化し始めています。築40年以上を経過したマンションは昨年末時点で約125万戸あって、それが20年後には約3.5倍の約445万戸に急増することが見込まれています。
丸山アナ:住む人が高齢化して、しかもマンションも老朽化すると、どうなるんでしょうか。
板谷:管理不全のまま廃墟になって危険な状態で放置される可能性がありまして、現にそういうマンションも出始めています。そもそもビルやマンションは、維持管理が必要なわけですね。それにはお金がかかります。ビルは、建ててから維持管理して最終的に解体するまでの一生の費用を合計すると、建てるのにかかる費用の4倍のお金が必要といわれているんですが、マンションの場合、大手のマンション業者が作って分譲するときに、マンションの維持管理にお金がかかるということはあまり強調されないことが多いんです。
丸山アナ:アパートの家賃を払うような感覚でマンションのローンを組んで、ローン以外に維持管理の費用がかかることを意識しない人が多いと。
板谷:そうですね。マンションは、区分所有者の全員で管理組合という団体を作って、みんなで維持管理をすることになります。通常、マンションの住民は管理組合に管理費とか修繕積立金という維持管理の費用を払います。月々の額はアパートの家賃くらいの額になることもあるので、結構負担なんです。高齢になると、収入が減って維持管理の費用を滞納したり、身寄りのないまま亡くなったりして所有者不明のまま放置される場合も出てきます。
丸山アナ:管理組合としては何かできないのですしょうか。
板谷:管理組合からは滞納された管理費や修繕積立金を請求したり、最終的には裁判所を使って請求して、支払わなければその部屋を競売にかけたりすることもできるんですが、管理組合の理事というのは結局同じマンションに住んでいる人が就任するわけで、しかも1年交替のことが多くて、あんまりよく分からないまま面倒なので次の年に先送りということを繰り返してしまう場合があります。
丸山アナ:管理組合が自分たちでそれを全部やらなければならない?
板谷:はい。もちろん、通常は、マンション管理会社という専門業者にマンション管理を委託して、マンション管理士という資格者が管理を代行するんですが、管理会社は管理組合から費用をもらって管理するだけですので、最終的に管理費などの滞納があった場合に助けてくれるわけではないんです。マンションの修繕も同じで、みんなで修繕積立金を積んで15年に1回などの周期で大規模修繕ということで維持していくんですが、管理会社が修繕業者とくっついている場合などもあって、修繕業者に不必要に多くのお金を払わされていることに気づかないまま大規模修繕を繰り返すと、2回目、3回目の修繕のときに積立金が足りないということになってしまうんです。
丸山アナ:そういうことにならないためにはどうすればいいでしょうか?
板谷:現在、国の法制審議会でも区分所有法などの改正作業を行っていて、マンション管理を適正化する方法を考えていますが、まずはマンションの区分所有者が、自分たちで維持管理をしなければならないという認識が必要ですね。
丸山アナ:誰かがなんとかしてくれるだろうと放置するのはよくないということですね。
板谷:はい。自分の所有物ですので、最終的には自分の負担になるわけです。私も、7年ほど前に自分の住んでいるマンション管理組合の理事長をして、初めてこの問題を実感しまして、マンション学会などにも入って情報収集をしています。マンションの管理組合の連合会というものがある都道府県もありまして、マンション管理の問題を共有したり、災害対応で窓口になったりしているんですが、長野にはそういう団体がないんです。ないなら作ればいいわけで、現在、全国組織と連絡を取り合って、長野で管理組合の団体組織を立ち上げる方法を検討しているところです。
丸山アナ:管理組合の連合会ですか。頑張ってください。ありがとうございました。